みみの会社のブログ_JINO

耳に関するヒト・モノ・コトについてご紹介するブログです。

川久保玲さんのインタビューに励まされたことについて

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この記事は

・不条理に対しての怒りを持ち行動を続けること

・人生の3分の1は社会のため、3分の1は未来のため、3分の1は自分のために使う

という視点について紹介しています。

 

<不条理に対しての怒り>

先日、考えさせられることがありました。

聴覚に関わる仕事を始めてから年に何回か相談を受ける

障害者総合支援法による聴覚援助機器の『申請が通らない』問題です。

 

補聴器をお使いになられていて、

障害者手帳をお持ちの方はご存じの方が多いと思うのですが

補聴器は医療機器。

購入時に障害等級に合わせて、自治体から

サポートを受ける権利をお持ちの方がいらっしゃいます。

 

その基準も聴覚に関しては、諸外国に比べると厳しい基準になっています。

しかもこの制度、だいぶん長い事改定されていないので

(微妙~~に改定されている部分はありますが)

そもそも聴覚障害を持つ人にとっての

「福祉制度を利用できる基準設定」も厳しめです。

jino33.com

 

様々な立場からの色々な見方があるので、

だれか特定の人を責めたりすることが目的ではなく

制度と仕組みをおかしいと思う人が沢山いるのに

変わらないことへの自分の無力さに対する怒り、

「誰も取り残さない社会」と言っておきながら

その気配が見えない、様々な制度に対する不条理に対する怒りは

毎回毎回むき~~~と頭に血がのぼってしまいます。

 

いうても、国の政治を執り行う人たちが

「自助」を一番に、しかもしれっと要求しているのに

国民が怒ったり、支持率下げたりしない国なので

公助はあてにするものではないのかもしれませんが…

税金を使うのであれば正しい方向に使ってほしい。。

 

そして公助があまり頼りに出来ない現状で

不条理に対して怒りをもつ自分がどうしたらよいのか

共助やビジネス目線でその変革のきっかけを生むことが出来ないか

というのをこのところ、悶々と考えています。

 

川久保玲さんから思い出すこと>

川久保さんはコムデギャルソンという服飾ブランドのデザイナー&社長です。

COMME des GARÇONS

個人的にものすごくハンサムな方、というイメージを持っています。

初めて川久保さんに興味を持ったのは

20代の後半に仕事でデザイナー出身の友人が出来た時でした。

 

その友人もとってもハンサムで、

初めて会った時から成熟した魅力をもつ彼女にとても惹かれて

「一番インスピレーションを受けたと思うデザイナーっているの?」

と最初のランチミーティングのときに聞いたのを覚えています。

 

突然のそんな質問に即答してくれた名前が 川久保玲さんでした。

生き方も、洋服のパターンもデザインも全てが憧れだ、と教えてくれ、

名前と顔は一致しても、生き方なんてもちろん知らない私は

こんな格好いい子がそんなにあこがれる川久保さんに俄然興味が沸きました。

ほんと若い頃から単純です。。。

 

今日、なぜこの会話を思い出したかというと

昨日TBSのNews23でマスコミにほとんど顔をだされない

川久保さんのインタビューが放送されて

そして今日もNHKのNews9で放送されるという

ウソみたいなほんとの話を目にしたからです。

youtu.be

 

洋服を纏うことそのものの定義と意味について

私は前述の彼女と知り合うまで、深く考えたことがなく

自分という存在を表現するツール、

という哲学的側面を知ったのも

川久保玲という人について知ってからでした。

 

このNews23のインタビュー、賛否両論あるようなのですが

コロナ禍において不要不急扱いを受け

多くの会社の経営が厳しくなっている業界の1つでもあることは間違いなく

そういった面で、経営者の立場として出演されたのでは、とは思います。

 

ショーの後の忙しいほんの少しの時間のインタビューで

伝えられることは多くないですし

質問も??というものもあったので、なんとも、ではあるのですが、

ご本人がインタビュー中におっしゃられている

『「ちがうもの」と「ちがうもの」がぶつかることによっておこるエネルギーを心地よく思いたい』

『不条理に対する怒りを持ち続けて、なにもできないけどその反骨精神だけは大きくなっている』

という2つのメッセージに鬱々と悩んでいた自分の気持ちに

背中を押してもらった気がします。

 

そして1000人を超える従業員を抱え、

78歳という年齢で数々の賞を受賞していらっしゃる今でも

『何もできていない』とおっしゃっていることに

改めて川久保玲という存在の凄さに感銘を受けました。

 

福祉制度への支援を現政権下で変えていく事は難しいかもしれない、

けれど諦めずに、方法を考え続けて

良い器械を良い条件下で、120%活用できる聴覚障害を持つ人が増えるよう

試行錯誤していきたいなと思います。

 

<大人の仕事は仕組みをつくること>

そして川久保さんを思い出して励まされたのと同時に

もう一つ、いつか紹介しようと思っていた記事をご紹介。

 

ikeuchinahito.com

パタゴニア日本支社長の辻井さんが、

イケウチオーガニックというスーパーステキなタオルの会社の

インタビューに答えていらした時の記事です。

 

当時はコロナ禍前で、環境についての会話が主に交わされているのですが

社会の歪みを是正する方法についての会話の中で

フェアトレードのチョコレートの話が出てきます。

詳しくは上記の記事を是非お読みいただきたいのですが

全ての人に社会課題を自分ごとにしてもらうのは難しい。

だから大人の仕事は、すべての人が気づかぬうちに社会課題を解決する方向に

仕組み自体を作ってしまえばよい、という趣旨のお話が出てきます。

 

この発想、私にとっては目からうろこでした。

 

どうしても、沢山の人に知ってもらわなきゃ!!

聴覚って奥が深いのよ!興味持って~ってどんなに言っても

自分に関係ない人にそう簡単には響かないですよね。

 

もちろん当事者の方からの発信には意味があると思っているので

発信活動も啓発活動も続けて行きたいし、応援していきたいのですが

大人として、未来の子どもに「ちゃんとした」仕組み、

が作れたらな と考えるようになりました。

 

今具体的に考え始めている事、

実現するのはなかなか労力がかかるのですが

具体的になってきたら徐々にお伝えしながら

仲間を増やして発信していけたら良いなと思います。

 

そしてこのインタビューの後半に辻井さんがおっしゃっている

『北米先住民の言葉に、「人生の時間の3分の1は社会のために使いなさい、3分の1は未来のために使いなさい、そして残りの3分の1は自分のために使いなさい」というのがあるらしいんです。』

というお話。

辻井さんもとても良いなと紹介されているのですが

私も『自分のために3分の1』という考えを、とても良いなと思います。

毎日の充実感を持って、社会のため・未来のため・自分のために

バランスよく生きたいな。

 

川久保さんや辻井さんのいらっしゃるフィールドと

私の居る、聴覚や難聴、補聴器やロジャーといった

補聴援助機器のフィールドは

一見何にも関係がない様に見えますが

広い視座で見ると沢山の共通点と発見があり、励みになります。

 

世の不条理には反骨的に、

社会のため・未来のため・自分のためのバランスを持って

未来の子ども達に遺す仕組みを作って行く。

JINOの目標がまた一枚太くなった気がします。

 

今回もお読みいただきありがとうございました!

ご意見・ご感想などいただけたらとても嬉しいです。

 

JINO GOJI