<カズ・ヒロさんの生き方>
私は映画を楽しむのが好きで、
子供の頃から毎年、発表を楽しみにしているものに米国アカデミー賞があります。
大人になってエンターテイメント界の矛盾点や
問題点にも目が行くようになり熱狂的ではなくなったものの、
技術や思いのある人たちが極限まで努力・工夫をして作り上げた作品に惹かれ、
ニュースにも必ず目を通します。
そして今年も、2月に発表される賞のノミネート作品が発表されました。
今年のメイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネートされた方をご存じでしょうか?
2年前に同賞を辻一弘さんとして受賞されているカズ・ヒロさんです。
カズさんが今回のノミネートに際して受けられたインタビュー記事に
ものすごく共感する部分があったので、記事そのもののご紹介から、
聞こえ・耳の課題をアイデンティティという視点で考えてみました。
まずはカズ・ヒロさんのインタビュー記事をご紹介します。
拝見して、私はアイデンティティとは生き方そのものだなあと感じました。
皆さんはいかがでしょうか。
記事をお読みいただく時間のない方に、概要をお伝えすると
・カズ・ヒロさんは京都出身のアーティスト。
・2年前にアカデミー賞を受賞した際に「日本人初」とか「日本を代表して」という評価に戸惑い、日本国籍を放棄。アメリカ国籍に。
・自分にも他人にもレッテルを張るのが嫌だし不要だと考えている。
・自分が何をやりたいのか、何をするべきなのかを他人の目ではなく自分で決め、他人のために生きているのではなく、自分の人生をどう生きるか自分で決定することを推奨。
という内容でした。
前回のJINOのブログ記事↓にも記載しましたが、
今年はオリンピック・パラリンピックの年。
オリンピック・パラリンピックの時期には特に、
ナショナリズムの濃さがでるというか、
「日の丸を背負って」とか「日本人最高位」といった見出しが増えます。
「自分が何者であるのか」を「自分をほかの人間と区別する」という見方で
アイデンティティを捉えると、国籍だけではなく
カズ・ヒロさんのインタビュー内にある性別だったり、職業だったり、
もっと細かくすると出身の市町村レベルでも、
他者を区別する場合があるかもしれません。
「自分が何者であるのか」を考えるときに、国籍を用いる考え方は、
アイデンティティという自分の考え方の成り立ちや、
自分の存在を確認する時の拠り所になることを考えると
わかりやすくもあるため、ごく一般的なのかもしれませんが・・・。
私個人としては、日本の社会・教育システムについての批判は置いておいて
カズ・ヒロさんの考えに共感するところは多く、
特に
・自分にも他人にもレッテルを張るのが嫌だし不要だと考えている。
という点は共感しかありません。
<聞こえの課題をなくすという夢>
私には「『障害』という概念のない社会を実現したい」という夢があります。
差別や区別なく、人は人、その人そのもの、という視点で
人と人が関わりあうことの出来る社会を叶えたい。
そのために出来ることから始めよう、と思い
自分にとって一番身近に存在していた聴覚に課題を持つ方との接点の多さから
今から10年前に補聴器メーカーでの仕事を始めました。
10年変わらず、補聴器やその他のツールを活用して快適に生活していただきたい、
不便さや、面倒を改善していただきたい、という思いを持って仕事をしています。
ですが、一番大切にしているのは、
お一人お一人がご自身という存在を慈しみ毎日を過ごしていただきたい
という気持ちです。
聞こえに課題をお持ちになる方と沢山お会いする機会をいただいてきた中で、
聞こえ辛さをきっかけに、人と関わり合うのが億劫になってしまう
という方が多くいらっしゃいました。
ご自身で自身を「聞こえていた自分」や「聞こえる他人」と区別してしまい、
塞ぎこんでしまわれていらっしゃる方たちです。
私たちJINOにお手伝いできることは、
ご自身の「聞こえない・聞こえ辛い」状態を受け容れられ、
ご自身を慈しみ、毎日を過ごしていただくことだと思っています。
そのための道具を一緒に探して見つけ、
補聴器や補聴援助機器を選ばれた時には一緒に
その道具の持つ100%の力を発揮して使っていただけるようにする。
その道具は補聴器のような器械でも、手話でも、筆記でも、
聴導犬などのサポートを受けることでもなんでも良いと考えていますので
私たちに取り扱いできないサポートの場合はその場所や手段をお伝えしています。
アイデンティティについて思うことをまとめるのに、
最後に各メディアで話題になっているTweetがあるので紹介します。
日々ご自身を慈しまれていてとても素敵だなと感じて
私もTwitterでこの方をフォローをしています。
また、この方が「よかった~」「嬉しかった~」と紹介されている例は
2016年に施行された障害者差別解消法の「合理的配慮」の良い例だと思って
拝見しているのでこうやって多くのメディアに取り上げられるのをとても嬉しく思います!
こうやって話題になるのも、このツイ主さん(つぶやきを投稿しているかた)が
ご自身の向き合われている日々の聞こえの課題を、
ご自身のアイデンティティとして受け容れ、
慈しみながら毎日を過ごされているから、だと思うのです。
聞こえに課題を持たれる方やその周りの人間が、区別や差別ではなく、
さらに、この記事に登場される店員さんの対応を暖かいと思うだけでなく、
水に浮かぶ波紋のように、この方たちの対応や考え方を
緩やかに大きな円で広げていけると良いなと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
JINO GOJI
※Twitter・FBでは聞こえに関する時事的なニュースや出来事を発信しています。
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