みみの会社のブログ_JINO

耳に関するヒト・モノ・コトについてご紹介するブログです。

チャップリンの視点について

 

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「人生はクローズアップで見ると悲劇、けれど離れたところから見れば喜劇」

 先日、書いたアイデンティティについての記事の中で

jino33.hatenablog.com

映画が好きというお話をお伝えしました。

小さい頃から両親がTVやビデオで見ている

洋画を一緒に見る時間がとても好きでした。

 

映画のセリフや監督・俳優さんの名セリフ・名言にも

思春期に考えなくても良いような悩みを抱える時期があった時から

沢山励まされてきました。我ながら単純ですが・・・

 

ご存じの方が多いと思うのですが、チャップリンの名言もその一つでした。

eiga.com

日本では世界の三大喜劇王(ほかの二人はバスター・キートンハロルド・ロイド)と呼ばれた、サイレント映画の大スターです。

 

なかなか大変なことが多い人生を過ごした

彼の名言の中で私が一番励まされたのが、

最初に記載した

“Life is a tragedy when seen in close-up, but a comedy in long-shot.”

「人生はクローズアップで見ると悲劇、けれど離れたところから見れば喜劇」

という言葉。

この視点を今回のブログの題材にしました。

 

というのも、先日、尊敬する耳鼻咽喉科の医師と言語聴覚士の先生ご夫婦から

薦めていただいた映画を見て、見終わった後に最初に思い浮かんだのが

このチャップリンの言葉だったからです。

  

おススメいただいた映画は「誰もが愛しいチャンピオン」。

synca.jp

スペインで2018年に公開された映画です。

実話を元に100人の知的障害者の方をオーディションして、

役者さんとして採用した画期的な取り組みでも話題になり

スペイン国内での興行成績は2018年ぶっちぎりの1位だったそうです。

 

様々な賞も受賞されているので、気になられる方は

是非映画館で見てみてほしいのですが

例のウィルスの件で映画館に行くのは憚られるという方も多いかと。

 

なので、ざっくりの流れをお伝えしてしまいます。

※自分で見たい!という方はここからしばらくはスルーしてください。

 

 

主人公はスペイン、プロバスケットボールチームのサブコーチ。

私生活がうまくいかず、コーチ業でもいざこざを起こしてクビに。

飲酒運転で逮捕され、刑期の代わりに90日の福祉奉仕を命じられて

配属されたのが、障害者バスケットボールチームのコーチ。

 

最初はチームメンバーのかなり自由な状況に匙を投げようとしますが

最終的には彼らと、彼が、お互いに「ないもの」を補い合う最高の関係に。

最後にはチームを離れて物語は終わります。

 

こんな簡単なまとめだと、よくある感動モノね、

と思われるかもしれないのですが、この映画、笑いの持って行き方が凄く上手で。

 

それぞれ色々な障害を持って毎日を過ごしているメンバーの「普通」と

主人公のコーチの「普通」への問いかけも、

とあるメンバーのあまりにも差別的な上司への復讐も、

主人公が自分の中に「ないもの」を見つける過程も、すべて笑いと共にあるので

堅苦しくなく自分が当事者の気持ちになれる気がします。

 

また、この映画のテーマでもある「普通」と「常識」についても

見せ方がとても上手でした。

 

場面場面でこのテーマについての会話が散りばめられていますが、

特に主人公が私生活で妻とうまくいかない理由の1つに

40歳を超えた高齢での妊娠・出産を望む妻との意見の不一致を持ってくることで、

物の見方=価値観の変え方を、すんなり腹落ちさせてくれました。

 

私は、祖母が見えないはずのものが見えて、

聞こえないはずのものが聞こえる忙しい人だったので、

毎日自由な発想の持ち主と一緒にいると

笑いでは済まない気持ちになることも十分理解できますし

この映画のコーチのように、自分の子供がそうなったら怖い、

と思う気持ちもわからなくはないです。

 

一般論として、そのような子供を

出生前診断で産まないという選択をする人のことを

責めることもしたくないし、他人が口を出すことでもないと思っています。

 

ですが、自分と妹の立場から、いわゆる「普通」と「常識」を

この映画の見せてくれた目線の変え方で伝えられたらうれしいなとも思いました。

 

私の叔母のうち3人は聞こえに課題を持ち、二人は完全に聾で、

私の母が、私と妹を妊娠した時には当時でいうとかなりの高齢出産だったため

親戚中、聾の子供がうまれる、と言って反対ばかりだったそうです。

 

母が「それが何か?」と産んでくれたので、私は今ここに居られるし、

妹も私もそれぞれ健康ではない部分は持ち合わせていますが

何とか働けて生かされてもいます。

母と父が私たちの存在をまるっと受け容れてくれたから、だと思っています。

 

聴覚障害を持つこども という視点でお話すると、

お子さんが新生児スクリーニングで難聴かもしれないといわれて

落ち込んでしまったというお母様や、

そのあとの検査を受け、難聴と診断を受けたお母様たちから

ご相談をいただいたことがあります。

 

以前ツイッターとFBでご紹介したデフサポ代表の牧野さんのように、

自身のことは何ともなくとも、お子さんの事になると

お気持ちの整理が難しかった、という方もいらっしゃると思います。

 

どれも正解はない話。

 

「なんでもない日常が何よりも幸せ」なんて言葉が共感を受けるくらいですから、

出来れば困難や苦労はしたくないのが人の気持ちなのだと思います。

 

とはいえ、生まれてくる子供たち、生まれてきた子供たちの可能性の芽を

「普通」と「常識」で見て判断してしまうのは勿体ない気がするんです。

 

人生はクローズアップしてみると悲劇。

自分だけが辛い、自分だけが大変。なぜ自分だけが。。と思うことは

いつ誰にでも起こりうるし、

今この瞬間もそんな感情の中にいる人が存在していると思います。

 

けれど、ロングショットで離れたところから見れば喜劇。

自分のことを客観視することが出来れば、

意外とイケる!とやり過ごせることは多いんじゃないかなとも思っています。

 

映画と言えば、皆さんにご紹介したい映画は沢山あるのですが

今度JINOで放映したいなと思っている作品があるので

その話はまた今度ご紹介させていただきたいです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

FB・Twtterでも色々紹介させていただいています。

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良かったら見てみていただいて、気になることやご意見あればお聞かせください!

 

JINO GOJI