みみの会社のブログ_JINO

耳に関するヒト・モノ・コトについてご紹介するブログです。

デバイスとしての補聴器について

この記事の概要

■デバイスとしての魅力 VS携帯電話

■デバイスとしての存在価値 VS福祉機器としての存在価値

■ご意見募集

について記載しています。

f:id:JINO33:20200709212818p:plain


-デバイスとしての魅力‐

2020年も半年が過ぎて早くも10日が経ってしまいました!

感染症対策で日常生活が大きく変わられた方も多いのではないでしょうか。

 

全国、特に九州に降り続く雨による災害も心が痛みます。

私も親族に九州在住者が多く、気が気でない毎日です。

どうかこれ以上被害が広がることがないよう毎日祈っています。

 

自分は自分の置かれた場所で出来る事をするしかないですので

コツコツと日々を重ねていたいと思います。

 

さて、今回のブログ記事は自分の中で

ず~っと解決できずにいることについて。

読んでいただいた方にも是非感想、ご意見を頂戴したい

バイスしての補聴器の魅力と存在価値についてです。

 

上の写真、補聴器の写真ですが

補聴器だと解られたかたどのくらいいらっしゃるでしょう。

これはPhonakのMarvelという補聴器です。

 

メーカーで約10年補聴器に携わってきた身からすると

当たり前になりすぎていて忘れがちなのですが、

こんな形の、いわゆる『デバイス』と言えるカタチに進化したのは

もう15年以上も昔なんです。

  

補聴器の不思議なところで、補聴器が何をする機械なのか

は多くの方がほぼご存じで、

付けるとお金が増える、とか、つけると肌のシミが取れるとか、

そういった誤解はありません。

皆さん、大きな音を出してくれる道具 

という認識は一致しているように思います。

 

大ききくて肌色で。。みたいなことを未だに言われてしまうことが多くて

時々、自分が10年、何にも人のためになる情報発信が出来ていなかったんだと

落ち込むことも多いのですが・・・

 

逆に、電話が出来ます、音楽聞けます、

英語が聞きやすい気がします(私だけかも…)、

Airpodsとかよりはるかに見た目おしゃれです。(個人的な見解です。)

という説明から補聴器を連想される方は、今までお話してきたことのある方には

ほとんどいらっしゃいませんでした。

 

まったくもって個人的な意見なのですが

AirPodsだけはどうしてもつける気に…。

みんなあのピロって出てるとこ、気にならないのかな…

f:id:JINO33:20200709213753p:plain

SivantosのStyletto

ちなみにこれは、Sivantosから出ているスタイレットという補聴器 。

充電ケースがAirPodsそっくりですがこっちのほうがカッコよくないです??

 

話がそれてしまいましたが、デバイスとしての補聴器って

ものすごく魅力的だと私は思っているのですが

なかなかそれが伝わらずに寂しく思っています。

 

そこまで言うのも背景があります。

もともと私は補聴器業界に入るまでに、

携帯電話を製造する会社で働いていたことがあります。

当時は携帯電話黎明期だったこともあり、

新しい機種が出るたびにワクワクして、

発売を心待ちにしていました。

 

携帯電話には専属の雑誌が週刊・月刊で存在していましたし

電化製品マニア、携帯電話マニア、

また会社のブランドのマニアも沢山いて

発売前から口コミがSNSに掲載されまくっていました。

新製品発表会ともなれば、社長が芸能人とCMの紹介をして

海浜幕張でも、ラスベガスでも展示会で紹介されるし

ニュースにも取り上げられ、競合他社との比較も日常的に行われていました。

 

対する補聴器。

値段は当時の携帯電話とそんなに大きく変わらないものから存在しています。

(当時は販売価格実質0円に踊らされて実機の価格を気にしない人が多かったかもですが。。。)

 

使っているマイクもレシーバーの部品たちも携帯電話より高性能。

実際私はとある会社の携帯電話で電話をすると

周りの音がうるさすぎで使えないと感じるほどです。

中に載っている心臓部分のチップ性能も相当高性能&高価格です。

 

補聴器で出来る事も先ほどお伝えした通り。

電話も音楽も。40歳を過ぎたら聞こえにくくなる高い周波数帯の音は

英語をはじめとする欧米言語に多く使われるので(s、tといった無声破擦子音など)

私はつけているときの方が、英語圏の人との会話はしやすいと感じます。

見た目、かなりかっこいいです。デバイスとしての完成度高いです。

 

それでも、実際に世間の方の目に触れる機会はほぼなし。

ラスベガスのCESで賞ももらってるのに、メディア露出全然ないし…

何故なのかしら…とず~っと考えているのです。

客観的な露出から比較した場合  
  補聴器 携帯電話
新製品 半年に1度くらい
どこかのメーカーから発表
半年に1度各メーカーから発表
メディア露出 ほぼなし。
たまにあると高齢の方向け。
しょっちゅう。
サブリミナル化するほど
TV・交通・雑誌でも目にする
記者会見 ほぼなし。
あってもメディアが同業界のみ
しょっちゅう。
NHKから民放、Webみんな取材にくる
展示会 3年に一回業界団体が実施
ほぼ同業界の顔合わせ
海外ではEUHA、AAAなどがあるがほぼ同業界の顔合わせ
CES、テック系の
大会場展示

 

補聴器は印象が良くないとか、口コミが悪いとか、

使っても聞こえないとか高すぎるとか、

悪いイメージを随分お伝えいただくことがあるのですが

どれも販売する側の説明不足と、

使い始めが遅い人が多いことにも関係していると思います。

 

携帯電話にもアンチは沢山いらっしゃいます。

目が悪くなる、重い、手がつかれる、姿勢が悪くなる

夜眠れなくなる、体に悪い電磁波出まくっている 等々。

 

これらはデバイスそのものの問題と使い方の問題です。

でも私をはじめ多くの人が肌身離さず利用して

もはや財布を無くす以上に

携帯を無くすことの衝撃度は大きくなっている気さえします。

なのになぜ…補聴器のデバイスとしての魅力は伝わらないんでしょう…

 

携帯電話の新製品の販売をワクワク楽しみにしていた私のように

補聴器の新製品の販売をワクワク楽しみにしてくれている人はどのくらいいるんでしょうか・・・

 

―デバイスとしての存在価値 VS福祉機器としての存在価値―

補聴器というと福祉機器に位置付けされることが多いです。

補聴器は医療機器として薬事承認をしっかりと取って

責任もった管理下の中販売されている商品です。

 

昔のイメージで、音を大きくして伝えるモノ

というのが定着しているように思いますが

ちゃんとした補聴器は。必要以上に大きな音を出すことはありません。

つける人の聴力の状態に合わせて、補充が必要な高さの周波数に

音の情報を伝達するための器械です。

 

今回の記事の目的は細かい話ではないので端折りますが

器械の詳しい説明はこちらをご参考ください。

 

販売されるものには、ぴんからキリまでの製品があります。

価格が安ければ安いほど、使う人が器械に合わせる必要があり

価格が高くなれば高くなるほど、器械が使う人に合わせてくれる機能が増えます。

 

日本で一番メジャーな車の会社、TOYOTAさんのブランドでいうと

軽自動車→レクサス までと同じ位、性能によって値段に差が出来ます。

なので、高いものがすべての人にとって良いものではありません。

レクサスは自分に必要ないと思う人に、要らないのと同じです。

 

例えば、音を方向感覚や、危険察知のために使って

言葉の情報には視覚を大切に過ごされる方には

細かく性能が整ったものよりも、大きな音がしっかり入るものの方が良いですし

言葉の情報を漏れなく聞きたいという方には性能の多く載ったものが良いです。

 

バイスとして使いたいのか、それとも音の大きさだけを補助したいのか

それによって選ばれる個体が違ってきます。

そのため、補聴器にはデバイスとしての目線と

福祉機器としての目線を分けて知って頂く必要があるのではないかと

考えるようになっています。

 

ここで知人に紹介してもらったとある人の記事について。

 

courrier.jp

この方は大層極端な生活をなさっているのですが

文中に「完璧な聴力のために補聴器を使う」という一文があります。

 

この方はだいぶ極端ではあるのですが、

バイスとしての最高の誉め言葉だなとも思いました。

もちろん完璧な聴力など存在しないので

(そもそも何をもって完璧とするのかの前提が必要です。)

元記事の翻訳の問題もあるのかもしれないのですが

バイス的使ってもらい方は、とっても良いなと感心します。

 

また、補聴器なしでは音の情報が不足してしまって

身の危険さえ感じられる方もいらっしゃいます。

後者の方の場合にはサポート機器としての役割をしっかり果たせるように、

販売する我々の立場の人間が、使用される方のお悩みを解決する最善策を

精一杯用意し、一緒に解決策に辿り着く過程が必要で、

私たちはその過程を一緒に歩ませていただきたいと願っています。

 

-ご意見募集について-

補聴器を器械として、

バイス・福祉の2つの側面を誤解なく、

しっかり必要性を分離・認識した上で

今後どう発信すると楽しいのか、

多くの方にその価値を感じていただくために何が出来るのか、

お読みくださった皆様はどう感じられたか、ご意見頂戴できると嬉しいです。

 

こちらにコメントくださっても メールinfo@jino33.com までご連絡くださっても

どちらでも嬉しいです!

お待ちしております✨

今回もお読みいただきありがとうございました!

 

JINO GOJI